第14版~お前の肉から皮膚を~

『グレヴェン・イル=ヴェクから少年へ』

「暗黒の儀式から、カーノファージとダウスィーの殺害者!」

先日完成した憎悪デッキが遂にお披露目となった。
まずは得意のロケットスタート。

 

「じゃあ、こっちはルーンの母」
相手はT君の白ウィニーだ。


「アタック」
カーノファージと殺害者が小気味良く殴る。

2ターン目にもう4点削れるのだ。流石は日本を制したデッキ

このままでは校区で敵なしになってしまうな、ふふふ・・・


「えーっと、サルタリーの修道士」

ん?プロテクション(黒)・・・


あれ?うちの彼って・・・

・・・

ぎゃー!!止まれ、止まるんだぁー!!


「はい、ブロック」


修道士の有難いお言葉に殺害者は改心し、ラースの地下へと帰って行きました。

 

「ぐう、まだだ、ダウスィーの怪物。これならブロックされん!」
「うーん、サルタリーの僧侶かな」


はっはっはっ、怪物には修道士とか僧侶なんぞの声は届かんわ。根っからのワルじゃからのう。アターック!

 


「お粗末」

 

怪物死亡。


「くそー、とりあえず僧侶に『恐怖』・・」
母いるけどいい?」

 

 

 ⇐ そのときの気持ち

「あ」


その後十字軍でムキムキになった修道士と僧侶にボコられ敗北。
お粗末である。


ま、まあ、憎悪も無かったしな。

このデッキは憎悪撃ってこそ本懐よ。




「1ターン目、カーノファージ」
「ゴブリンの従僕」

次はゴブリンのN君。
あらゆるゲームのセンスが抜群のN君だが、今日は勝たせて頂く。


「ダウスィーの殺害者」


今回は大丈夫。赤にはシャドーはいないから。
さらに手札。

次のターンで決着だ。
刮目せよ!


「暗黒の儀式から憎悪、ライフ18払ってパワー20の殺害者が・・・」
「ショック」

・・・


「え?」
「ショック。本体」


本体焼死。敗北。ショック。

 

 

 ⇐ そのときの気持ち

まったく勝てない。


この二人とは同じ習い事をしていたこともあって良く勝負したのだが、私はまったく勝てなかった。
それもそのはず。憎悪デッキ自体がピーキーだから。


当時の日本選手権はnWOとMomaが跋扈していた。

nWOはイカれカード「適者生存」を据えたコントロールデッキ、Momaはイカれカード「精神力」のコンボデッキ。


憎悪デッキが活躍するのにうってつけの環境だったのだ。

赤や白のウィニーも悪くはないが、上記が相手だと止めを刺しきれないこともあり、やはり爆発力のある憎悪デッキのほうが安定する。さらに黒の特権「ハンデス」が組み込めることも、これらのデッキには非常に有利に働いていた。

身の回りにはnWOもMomaもいなかった。

そんな札束のようなデッキは中学生には作れるはずもない。

逆に赤や白はお手軽に作れたため多数派。

上記の勝負が示しているが、憎悪デッキが最も苦手とする火力やプロテクションを有する色である。

 

ポケモンなら、フリーザやギャラドスを倒すためにサンダースを準備したら、相手はダグトリオやゴローニャ、そんな感じ。

 

てなわけで勝てないのは自明なのであった。

さらに『呪われた巻物』が無いことも致命傷。白相手にこれがないと、修道士に無双をくらったり、ルーンの母一体に完封されることもあるのだ。

茶色のダメージ源の重要さに気付いた私は、なんとか代用品を探そうとした。そして見つけた。

 

これだ。

召喚コストを巻物より3増やしたら、起動コストに生贄を要求されるようになったよ

 

・・・

 

ブロッカーを除去するためにアタッカーが減っている。

本末転倒とはこのことだろう。

 

ならば出る前に対処する。

 

これだ。

除去の得意な色だけど、手札破壊でも対処するよ。そしたら『強迫』のスロットが無くなったよ

 

・・・

 

もはや完全に迷走である。

 

今までは状況に対応できるカード、または代替となるものを探してはデッキを強化し、同時にMtG自体の腕も上げてきた。

 

しかし、ここに越えられない壁があることを知る。

何をどうしてもこのデッキには『巻物』以外の選択肢がない。

もはや技術や代替品でどうにかなるレベルではない。

 

『憎悪』のフレーバーが語りかけてくる。


~それでもまだ十分じゃないんだ~


 

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