第8版 ~情報社会の足音~

『孫正義と堺雅人』


 情報処理室という部屋が中学校にあった。


 これは1クラス分のパソコンが置いてあり、英語の時間にアルファベットを打ってみたり、技術の時間にプログラミングをしてみたりする場所だ。そしてこの部屋で「情報処理」が早く終わったときはインターネットをしてもいいことになっていた。

 当時の社会事情はようやく一般家庭にWindowsが普及し始めた頃で、当然殆どの生徒がネット世界になんて触れたことが無かった。

 あるとき友達がMtGのカードが載ってるページがあると教えてくれた。これは見なければ、と次の時間に言われた通りに検索し閲覧した。そう、今はなきホビージャパンのページである。そこには発売されているカードリストが公開されていて、残りの授業時間で可能な限り眺めたものだ。よく皆で見つけたカードを語り合っては盛り上がっていた。


「ショークーってタップだけでクリーチャー除去できるらしい」



「ファイレクシアン・ドレッドノートって1マナで12/12やで!」

などなど。




『情報の価値は万金に値する』

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 こう話した人は、その後ソフトバンクの社長になった。


 住んでいる所は都会とは言い難く、ショップも自転車40分くらいの所に一軒のみ。たまたま同時期に訪れたITの波がカードリストを手軽に把握することを可能にしてくれなければ、情弱のままMtGライフを終えていたかもしれない。

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「勘違いするんじゃない。

 勝ったのはMajicじゃない。

 Majicのユーザーだ!」