チーキーモンキー

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いたずら子ザルは北に行く ライオン たてがみひっこ抜く

 

いたずら子ザルは東行く  シマウマ すみでまっくろけ

 

いたずら子ザルは南行く  キリンにのぼって すべり台

 

いたずら子ザルは西へ行く ゾウのおはなを 木に結ぶ

 

子ザルはもいちど北に行き さっきのライオン 鉢合わせ

 

叱られ 子ザルはうち帰る かまれたお尻はまっかっか

いたずら つづきは また明日

 

Rule&Analysis

 

 可愛いおサルのぬいぐるみから、8種の動物の絵が描かれたチップを取り出していく。1枚ずつ何枚まで取ってもいいが、前に取ったものと被ったら、この手番で得たチップは没収。空になったら、取った枚数とボーナス点を合計して勝者が決まる。

 

 それぞれの動物ごとに枚数が違うのが特徴。最小はゾウの3枚、最多はサルの10枚で、チップは計52枚。それぞれの動物を一番多く集めた人がボーナスを貰えて、その動物の総枚数分の点が得られる。ゾウなら3点、サルなら10点ということ。チップ自体はどれも11点なので、このボーナスが勝敗に大きく関わる。

 

 もうひとつの特徴は、チップの略奪が出来ること。このゲームでは、取ったチップは毎回好きな順に並べて平積みにしておく。プレイヤーが袋からチップを引いたとき、その動物が誰かのチップ山の一番上と同じであれば、そのチップは問答無用で奪えるのだ。ゾウは奪われにくいが、サルは奪われやすいということ。下手したら連鎖的に23枚奪われることもあるので、出来れば一番上は「3:ゾウ」「4:ライオン」「5:キリン」あたりで守っておきたいところだ。

 さて、何故タイトルは『Cheeky Monkey(わんぱくおさる)』なのか?実は10枚あるサルには特殊能力があり、引いたときに誰かの山の一番上のチップと交換しても良い。交換の利点としては、ボーナス狙いの欲しいチップを得られること。欠点としては、サルのボーナスは10点と最多であるが、それを相手にアシストしてしまうということ。同じ手番中に再度サルを引けばそれも回収できるが、上手くいくとは限らない。このゲームは、52枚に近ければ7割程度の確率で3枚までは引ける計算になるが、枚数が減れば減るほどその確率は下がっていくので、後半になるほど複数枚引くのは難しい(チップが比較的万遍なく減っていくと仮定したらだが)。

 

 動物の枚数差は、このゲームの『チキンレース』『ボーナス』『略奪』の要素を見事に繋いでおり、さすがクニツィアとしか言いようがない。数学者だけあって数のジレンマはお手の物。

 

 プレイしていると慎重派、大胆派などその人の性格が見えてくる作品。人の本質が解き放たれるのは、野生の中で、ということだ。いたずら子ザルは今日もあっちの山、こっちの山と飛び回る。