ファブフィブ

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ここは正直者ばかりの国「うそつき王国」です。

 

この国にはある伝統的な儀式があります。

 

山札からカードを引いては、隣の人に手札の三桁の数を宣言しながら渡していくのです。もちろん嘘などもってのほかです。

 

この儀式でこの国の国民がいかに誠実か分かるでしょう。

 

これは、正直者の、正直者による、正直者のための儀式なのです。

 

そう、この儀式の名こそ「フィブファブ」です!

 

 

Rule&Analysis

 

 『フブフブ』である。間違えやすい。

 

 親はカードを3枚引く。そして3つの数字を降順に宣言する。次の人はそれを受け取って、好きな枚数を山札と交換。先程宣言された数より大きな数を宣言して、また次の人に手札を渡す。

 これだと只の運任せゲームだが、もちろんファブフィブはそうではない。宣言する数字は降順であること、としか言われてない。そう好きな数でいいのだ。「321」を「654」と宣言したっていい。ただし隣の人は嘘だと思ったらダウトを宣言し、正誤を確かめる。嘘であれば嘘つきが失点、冤罪であればダウトと言った人が失点して1ラウンド終了。カード1枚の失点は1点~3点なので、一回の失点は3点~9点である。持ちライフは12点でこれを失ったら敗退だ。

 このゲームの根幹を為す、『確率』と『嘘』というのは相性抜群である。

 

Q:「622」の宣言を受けた人が、2枚を交換したとき、本当に「622」より大きくなっている確率はどれだけか?

 

A:92%

 

かなり高い。ちなみに1枚交換だと70%3枚交換だと約39%だ(残りカードの分布が同じという条件だが)。チェンジは成功したと考えるのが無難だ。ところが、2枚交換した後の宣言が「876」だったとしよう。これは問題である。なぜならこれが本当なら、次により大きい数を作れる確率は、1枚替で30%2枚替で37%3枚替で約14%だ。劇的に低くなるのである。

 

(嘘だと言いたい。だが、この嘘は次の手番のことを考えた相手に、確率を考慮されると、破れかぶれで「嘘だ」と言わせてしまう可能性が高い。わざわざこんな悪条件の嘘をつくか?やはり本当に引いたと考えるべきか。しかしその心理の裏をかいて、実は交換に失敗した「610」とかであれば、その手札で「877」以上を作るのは至難、この場合は14%か。やはり嘘だと言いたい。でも、元々嘘の可能性は8%、受け取ってそれが本当であっても正直に凌げる確率は37%…)

 

すばらしく疑心暗鬼に陥るのだ。

 嘘つきゲームには、かの有名な『ごきぶりポーカー』があるが、あちらには確率の概念が少なく、より心理面を強調した作品なので、この『ファブフィブ』とは似て非なるものである。

 

 確率とハッタリはギャンブルの醍醐味。ポーカーや麻雀に通じる、新たな名作心理ゲームだと言えよう。