マンマミーア!

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「ほう、サラミはオリーブオイルで炒めてあるのか」

「それと別にぺパロニも使ってある、2種のハーモニーが良いね」


当然だ。この日のために研鑽を重ねた自信のピザ。


"Campionato Mondiale Della Pizza"

全ては世界一のピザ職人を決めるこの大会で栄光を勝ち取るため。

 

「まだ何かあるね・・・これは、パイナップル?」

「ほう!敢えて甘くない、酸味の効いた種類を使っているのか」

 

パイナップルがピザに不要という輩がいる。

そんなのは素人、わかる人にはわかるのさ。


試食を終えた審査員が協議を始めた。

 上がる心拍。口はカラカラ。1秒が1分のよう・・・

 

審査員長が口を開いた。

 

「君に伝えなければいけないことはふたつだ」

反応は上々だった。どうしても期待が膨らんでしまう。

 

「君のピザは素晴らしかった、Buonissimo(とても美味しい)」

 

やった!!!

これはもしかして・・・

 

「でも失格」

 

!!!

「な、なぜだぁ!!」


「マッシュルーム忘れてるよ、規定種目はマッシュルームのフンギなんだけど」

 

・・・

Ma・・・Mamma Mia・・・」


Rule&Analysis


作者はウヴェ・ローゼンベルグ。『アグリコラ』のデザイナーと言えばピンとくる人も多いのではなかろうか(このゲームも有名だけれども)。


『ボーナンザ』『マンマミーア』『アグリコラ』は現時点で彼のスマッシュヒットであろう。


ひとつの窯に皆で材料を放り込んでピザを作っていく。

一番たくさんの種類(レシピ)を完成させた人の勝ち。

 

トッピングは5種類。サラミ、ペパロニ、オリーブ、パイナップル、マッシュルーム。

作らねばならないレシピは8種類。使用する材料は全員殆ど同じ。細かいところはちょっと違ったりするけど勝敗を左右するほどではないので気にしない。

手番にすることは、


1.手札から「トッピングカード」を表向きに窯に放り込む

  一種類を好きな枚数放り込むことが出来る

2.ピザが出来ると思えば「レシピカード」を窯に放り込んで良い

3.「トッピング」か「レシピ」のどちらかを、手札が6枚になるま    

  で引く

 

こんな感じ。山札が無くなればラウンド終了。3ラウンドで終了だ。


さて1ラウンド終わるごとに「レシピ」が出来たかどうかの判定が行われる。「レシピ」は色が付いているので誰がチャレンジしたか分かるようになっている。


判定手順は、

1.窯のカードを全てひっくり返す(勿論順番は変えない)

2.上から見ていき「レシピ」が出た時点で判定開始

3.それまでに出た「トッピング」で条件を満たせるか判定する

4.「トッピング」が足りなければ、手札から不足分をだす

 

a.満たしていたら成功、そのプレーヤーの前に誇らしげに置く

a.使った「トッピング」は破棄

 

b.それでもダメなら失敗、そのプレーヤーの山札に戻す

b.「トッピング」はそのまま


こうして出来たレシピがプレイヤーの前に並んでいくというわけ。

 

おわかりの通り『記憶系ゲーム』だ。

結局、覚えている人が一番有利。

でも、それだけではない。

 

まずは「トッピング」の出し方。

レシピはこのように、


何か一種類を多く使うパターンが多い。ある種類が4枚近く出るとそれだけで誰かのレシピ完成チャンス。出し方を考えないと只のアシストである。

そしてこのゲームは、出来たらトッピングが消費されてしまうので、レシピは先に出さないとハナシにならない。最後に手札から足せるので、足す前提でちょっと足りなくてもガンガンいったほうがいい。

 

「レシピ」の使い方も一考だ。

おそらくこの2種の完成がかなり難しい。


『?マーク』は1種類以上ある、そのとき最も少ないトッピングを示す。これを作るには窯の中を完璧に覚えていないと困難だろう。


15+』は単純に15枚あればいいのだが、手札で6枚足せると考えても、9枚が窯に無ければいけない。その前に誰かがレシピを入れてしまうことが多いので、これまた結構大変なのだ。

 

レシピは6枚も完成させれば勝利の可能性が高いので、必然的にこの2枚は使われない公算が高い。さっさと窯に放り込んで、出来れば良し、出来なくても山に戻してしまうのがいいだろう。

 

記憶力と運の割合は高いけど、完璧に覚えている人は少ないので、

「うわー、出来ると思ったのに!」

「あ、なんか知らんが出来た」

などワイワイ盛り上がる。お子様の知育にもいかがだろうか。

 

サブリミナル効果でピザが食べたくなるのは御愛嬌。

レシピに失敗したときの決め台詞はもちろん、

 

"Mamma Mia" (なんてことだ!)